会社員は毎年10月になると職場に年末調整の用紙が届きます。生命保険に加入している方は保険会社からハガキが届くので昨年の書き方を参考に今年度の分も記入していく流れとなります。
しかし自分で加入している各保険の所得税と住民税の節税額って把握している方は少ないです。
年収や保険料だけでは計算できないので複雑ではありますが、
『給与所得の源泉徴収票』や住民税が記載された
『令和○年度給与所得等に係る市民税・府民税 特別徴収票額の決定・変更通知書』
があれば計算することができます。
年末調整時のタイミングでは源泉徴収票も住民税通知書も手元にはないと思うので昨年分を参考に(年収などの所得はあまり変わっていないと思うので)計算します。
知ることで保険料を見直したり、削れる部分も見えてくると思うのでこの機会に自分の保険料と保険内容、節税額をしっかりと見つめ直してみましょう。
結論の前に保険料控除の制度には新制度と旧制度によって限度額が異なります。
また保険料控除の区分は『一般生命保険』『個人年金保険』『介護医療保険』に区分け(以下、カテゴリー分けとする)されています。
変額保険は『一般生命保険』に該当します。
介護保険は医療介護の場合もあれば一般生命保険に該当する場合もあります。詳しくは保険会社から届くハガキを見ると区分けしてくれています。
個人年金保険もカテゴリーが不明であればハガキに区分けされています。
結論から言いますと
まずは自分の源泉徴収票から『給与所得控除後の金額』ー『所得控除の額の合計額』=課税所得を知り適用される保険料控除の税率を調べます。
※引用①参照
次に加入している保険制度の区分と保険料控除の上限額(4万円〜5万円)を調べます。
一般生命保険に該当する保険に年間12万円(毎月1万円)加入した場合(新制度)の計算は
4万円x10%=4,000円が所得税の戻ってくる金額です。
個人年金保険にも年間12万円(毎月1万円)、医療保険にも年間2.4万円(毎月2,000円)支払っている場合も同じように合算していけばよいです。
モデルがいないとイメージしにくいので、今回は年収500万円の子育て世代を参考に計算してみますので、ご自身の年収や所得控除の数値を入れ換えて計算してみてください。
そもそも保険料控除で戻ってくるってどういうことですか?
会社員で生命保険料控除を年末調整で記入すれば戻ってくるので節税になりますよ〜て保険会社の人はよく言いますが、これってどう言う事ですか?ってよく聞かれます。
会社員の場合の所得税は、総務部の方が前年度の源泉徴収票から所得金額を割り出し毎月分散して支払っています。(見込みで)
そして年度末に年末調整する事で支払い過ぎていた所得税は年末調整過納税(所得税を納め過ぎていた)部分は給料の収入のカテゴリーに入り収入として戻ってきます。
逆に、年収や所得が前年度より増えた場合は総務が見込んでいた所得税額では足りない為、年末調整時に年末調整過不足として、控除のカテゴリーからさらに給料から天引きされます。
この年末調整過納税額が保険料控除することで、戻ってくる金額を増やすことから戻ってくる』と言われています。
支払い過ぎた所得税(あれば)+保険料控除(この後金額解説)する事で所得税が戻ってくる(給与所得と一緒に)ので面倒でも年末調整をして節税できる仕組みは使いましょうって話です。

年収500万円子育て世帯の男性が年間12万円の保険料控除するとどれぐらい戻ってくる
源泉徴収票から支払金額(年収)が分かります。
その右側には給与所得控除後の金額(調整控除後)が記載されていますので、この金額から所得控除の合計額(社会保険料控除や扶養控除、地震保険など)を引くと課税所得が分かり、税率が確認できます。
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引用①:国税庁
年収500万円前後であれば給与所得控除とその他の所得控除を引けばだいたい課税所得による税率は10%のカテゴリー(課税所得195万円から330万円まで)に入ります。
一般の生命保険料に年間12万円支払った新制度の控除限度額は4万円(所得税)
以前にも言いましたが、年間12万円支払っても80万円支払っても控除限度額が決まっています。
年間8万円を超えれば、控除金額は一律4万円となります。
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引用②:ソニー生命 所得税 新制度
https://www.sonylife.co.jp/contractor/deduction/reform/calculation.html
控除金額4万円x10%(課税所得の税率)=4,000円
4,000円が支払う所得税から軽減される=戻ってくる
個人年金保険にも年間12万円の保険料を支払っていれば控除限度額も4万円(所得税)
一般生命保険だけではなく個人年金保険や医療介護保険に加入している場合も同じように計算していきます。
個人年金保険の控除上限額(所得税)も4万円x10%=4,000円
介護医療保険には年間24,000円(月2,000円)の保険料を支払っている限度額は
24,000×1/2+6000(引用④より)=18,000x10%=1,800円
3つのカテゴリー別の保険に加入している場合の所得税の軽減額は
所得税分:4,000+4,000+1,800=9,800円
保険料控除には住民税の分もありますので
住民税分:2,800+2,800+1,800=7,400円
年間の保険料負担は
一般の生命保険12万円、個人年金保険12万円、医療介護保険2.4万円の合計26.4万円であれば、17,200円ほどが保険料控除をする事で所得税分は戻ってくることになります。
新制度と旧制度による限度額と保険料控除の区分
2012年1月1日以前は旧制度、それ以降は新制度として区分けされています。
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引用③:オリックス生命
所得税と住民税の限度額も異なりますので、覚えるよりは確認するだけでよいです。
生命保険料控除の制度は3つの種類に区分
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引用④:オリックス生命
住民税の保険料控除の上限額は最大7万円
住民税は新制度であれば一般・介護医療・個人年金それぞれに適用されます。
それぞれ56,000円を超えていれば一律28,000円x3=84,000円ですが、合計の限度額は70,000円となるので注意しましょう。
住民税通知書を見れば70,000円と記載されていますので「そう言う事」だと理解しましょう。
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引用④:ソニー生命 新制度 住民税
https://www.sonylife.co.jp/contractor/deduction/reform/calculation.html
生命保険料控除で戻ってくるのは所得税の部分と住民税の部分があります。
住民税は6月ごろに毎年納税通知書が届くと思います。(会社によっては自分で納付する場合も)
給与明細書の住民税(地方税)の金額を見ても所得税よりも多く引かれているかと思います。
住民税は戻っては来ないですが、この引かれる住民税の負担が軽減されますので実質減税されているのと同じ扱いとなります。
ふるさと納税の寄附金控除もワンストップ納税制度を使わずに確定申告した場合は寄付金z税額控除として市民税と府民税(大阪府の場合)に分けて軽減されます。
以上の事から
生命保険料控除はどれぐらい戻ってくるのか?は人それぞれの給与所得以外の所得があったり、控除できる控除額が多ければ多いほど課税所得は低くなり税率が低くなります。
今回のモデルは年収500万円としましたが、年収350万円でも所得控除が少なければ課税所得の税率は10%になる場合もありますし、年収800万円でも控除できる所得がたくさんあればこれもまた課税所得の税率は10%にできることも不可能ではないです。
配偶者控除や扶養控除、医療費控除や雑損控除があった年は控除も上がります。年収に関係なく課税所得は低く抑える方がいいと思います。
所得税の仕組みは国税庁のホームページからもたくさん学べるので会社員は特に会社任せにしないで、自分はどれぐらいの税金を支払っているのか?
税の知識はお金を増やす知識に直結します。
節税できる方法は他にもないのか?探してみると新たな発見があるかもしれません!
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1000.htm
今回はiDeCoについては触れておりません。
(個人年金保険をしているケースでしたから)
個人型確定拠出年金iDeCoは全額、所得控除になるなどメリットもありますが、デメリットもあります。
また会社員は年間14.4万円から出来ますが、課税される所得金額はそんなに変わらない場合もある事を頭の片隅に留めておくといいでしょう。

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