生命保険や地震保険、小規模企業共済等掛金控除や医療費控除などがあれば給与所得者である会社員の方は年末調整で記入します。
10月頃から総務から各職場へ届き記入して申請すれば、12月の給料明細表には他の1年間の所得と控除を計算して所得税を支払い過ぎた分は差額が戻ってきます。
では一般の生命保険料を年間12万円(月1万円)支払っている場合の節税額ってどれぐらいなのか?
知るためには源泉徴収票か6月ごろに受け取る市民税など特別徴収税額の決定通知書が必要です。
課税標準の総所得から税率(何%掛けるのか)を知らなければなりません。
平成27年分以後
課税される所得金額 税率 控除額 1,000円 から 1,949,000円まで 5% 0円 1,950,000円 から 3,299,000円まで 10% 97,500円 3,300,000円 から 6,949,000円まで 20% 427,500円 6,950,000円 から 8,999,000円まで 23% 636,000円 9,000,000円 から 17,999,000円まで 33% 1,536,000円 18,000,000円 から 39,999,000円まで 40% 2,796,000円 40,000,000円 以上 45% 4,796,000円 引用元:国税庁
結論から言いますと
一般の生命保険に年間支払った保険料12万円から控除できる上限額は4万円です。
(※新制度の保険料控除の場合)
また4万円そのまま戻ってくる訳ではなく、税率を掛けなくてはならなくてその税率が所得に応じて異なります。
(5%から10%、20%など所得に応じて変わります)
また年収だけでは税率も分からないので個人の所得や控除の金額によって様々です。
年収500万円の人でもその他の所得があったり副業事業が赤字だったりと総所得金額が変わってきます。
総所得金額ー所得控除合計=課税される所得金額が分かり(図上)、その金額が300万円であれば税率は10%となりますし、350万円であれば20%で計算します。
生命保険料控除が年間12万円の場合、新制度の保険であれば年間8万円以上の保険料控除の上限額は4万円と決まっています。
税率10%の場合は、4万円x10%=4,000円
税率20%の場合は、4万円x20%=8,000円
が、年末調整後の給与明細で所得税を払い過ぎていた場合は還元されます。
年間12万円の保険料に対して4,000円から8,000円(所得による)戻ってくることとなります。
※別途住民税は一律10%(年間払込保険料56,000円以上なので上限28,000円)の2,800円分が次年度納付する金額から軽減されます。
年末調整と保険料控除についてはファイナンシャルプランニングの資格の勉強で学べるので詳しく知りたい人は深掘りしてみてください!
所得の確認は源泉徴収票から
給与所得の源泉徴収票の例を参考にします。
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出所:国税庁ホームページから
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/koho/kurashi/html/02_1.htm
自分の給与所得を入力してみるとイメージしやすい
太郎さんの年収を参考にしてみるとイメージしやすいのでご自身の年収に当てはめて計算してみましょう。
太郎さんの給与所得控除の計算方法は
500万円×20%+44万円=144万円
給与所得は500万円-144万円=356万円となります。
源泉徴収票には給与所得控除後の計算された数値をすでに表示してくれています。
どうやって計算しているのかはこちら。
![]()
出所:国税庁ホームページより

手元に年末調整の用紙があればこちらからも給与所得の金額は求められます。
給与所得は
500万円÷4=125万円×3.2-44万円=356万円
年収から控除された分は給与所得といいこの場合は356万円となります。
どちらも同じ数値になるのは驚きです。
次に課税所得を計算します。
国税太郎さんの場合は所得控除が以下のようにあります。
社会保険料控除60万円+生命保険料控除4万円+配偶者控除38万円+扶養控除76万円+基礎控除48万円=226万円
給与所得の金額356万円-所得控除の合計額226万円=課税所得金額130万円
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出所:国税庁ホームページ
課税所得が130万円だと分かれば所得税の課税率は5%という事になります。
所得税の課税率は所得控除の対象により5%にも10%にもなります。
参考に太郎さんの税率は5%ですので保険料控除年間12万円分の生命保険を控除申請した場合、4万円x5%=2,000円が年末調整時に戻ってくる事となります。
国税太郎さんと年収が同じサラリーマンAさんは扶養控除、特別扶養控除などがない場合
太郎さんよりも所得控除が少ないので所得控除の金額は118万円となり、課税される所得金額が238万円となりました。
社会保険料控除60万円+生命保険料控除4万円+基礎控除48万円=112万円
給与所得の金額356万円-所得控除の合計額112万円=課税所得金額232万円
195万円から329万9000円までは所得税の課税率は10%となりました。
保険料控除的には戻ってくる分が増えましたが全体の課税される金額が増えてしまいました。
追求していくとどちらが得なのか?という話となってきますが、所得控除は調整できるものではないのでここでは追求しません。
支払った保険料が生命保険料控除12万円として控除されない
ここまでの流れで一般の生命保険に年間12万円支払ったから12万円保険料控除されるのでは?と考えている方もいるかも知れませんがそうではありません。
新契約に基づく場合の控除額 所得税
新契約に基づく新生命保険料、介護医療保険料、新個人年金保険料の控除額は、それぞれ次の表の計算式に当てはめて計算した金額です。
年間の支払保険料等 | 控除額 |
---|---|
20,000円以下 | 支払保険料等の全額 |
20,000円超 40,000円以下 | 支払保険料等×1/2+10,000円 |
40,000円超 80,000円以下 | 支払保険料等×1/4+20,000円 |
80,000円超 | 一律40,000円 |
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1140.htm
一般の生命保険料に支払った保険料12万円という事は新制度の一般であれば控除の限度額4万円x税率となります。
年間8万円保険料に支払ったAさん(仮)も控除額は4万円と計算は同じです。
新契約に基づく場合の控除額 住民税
![]()
引用元:ソニー生命
https://www.sonylife.co.jp/contractor/deduction/reform/calculation.html
住民税4万円の場合の計算、40,000×1/4+14000=24000
太郎さんの場合
課税所得は194万9000円以下は5%となる事から
太郎さんの課税所得は124万円です。
所得税5%適用で4万円の控除は
4万円×5%=2,000円
が所得税分戻ってくることになります。
また住民税も軽減されるので(こちらは24,000円)
2.4万円×10%=2,400円が翌年住民税(地方税)が軽減されます。
合わせて4,400円が節税できる金額となります。
サラリーマンAさんの場合
サラリーマンAさんの場合は課税所得は238万円の為
所得税額10%適用となり4万円の控除は
4万円×10%=4,000円
が所得税分戻ってくることになります。
また住民税も同じく還元されるので(こちらは24,000円)
2.4万円×10%=2,400円は軽減
合計6,400円が節税できる金額の目安となります。
まとめ
給与収入(年収)から給与所得の金額を計算して課税所得を知る知識は知っていると一生役に立ちます。
12万円保険料を支払ったら保険料控除額上限の4万円ほど戻ってくると思っていた会社員は多いです。
しかし実際はもっと少ないことが分かってしまいました・・・。
一般の生命保険に年間8万円以上支払っても上限額は4万円と決まっています。
また、所得が低いと戻ってくる税率も低くなります。
保険料控除で戻ってきますから節税になる!っていう保険屋さんの言っていることはこの事です。
所得はあまり調整し難いですが、保険料控除は(一般、医療介護、個人年金)と3つのカテゴリーに分別されています。
それぞれのカテゴリーに分散すれば戻ってくる金額はもう少し増えます。
つまり一社の保険だけだと『一般の生命保険』だけですが、生命保険と医療保険、個人年金保険と分けて加入すればそれぞれの保険料に応じて保険料控除が申請できます。
(年末調整の紙に書くのが面倒ですが)
もっと詳しく知りたい場合は『保険の〇〇』などの店舗で聞いてみてください。
彼(彼女)らも説明のプロですから分かりやすく解説してくれるでしょう。
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ありがとうございました。